岡本真帆さんの第一歌集『水上バス浅草行き』。若者を中心に、日常をつづった岡本さんの短歌に心を動かされた人たちから読者カードが続々届いている(写真:本人提供)

 歌集の発刊後は、メディアへの露出の機会が一気に増えた。そんな中、岡本さんが意識しているのは自分の生活リズムを崩さないこと。創作の時間は就業前の朝の2時間(午前8~10時)と決めている。

「この2時間で集中してやるぞ、という気持ちで向き合って、そのあとは会社の仕事に専念します。創作のための時間を習慣化して生活の一部に溶け込ませている感じです」(同)

集中して成果を出す

 通勤時間のないフルリモートの職場だからこそできるスタイルだが、その分、自己管理を怠らない。

 例えば、残業は極力しない。疲れが残ると、翌朝の創作の時間に影響するからだ。一方で「リラックスして好きなことをやる時間」は削らない。岡本さんにとって映画鑑賞や漫画を読んだり、友人と対話したりする時間は不可欠という。

「そういう遊びの時間がなくなると、何にも集中できなくなってしまいます。忙しくなればなるほど、自分が持つ限られた時間を大切にしたい、という思いが強くなります」

 文筆の仕事も「やらされている感」が出ないぎりぎりのラインを見極めるのが大事、と岡本さんは考えている。

「目の前のことに集中して成果を出す、という気持ちでいないと、自分の好きなことをやりきれない。今が幸せだから、この楽しい瞬間を重ねつつ、研鑽していくしかないって思っています」

 自分にとっての「心地よさ」を大事にしながら能動的な時間をどれだけキープできるか。二刀流であろうとなかろうと、「いい仕事」を続けていくのに必要な胆力が岡本さんには備わっているように感じられた。(編集部・渡辺豪)

AERA 2023年10月2日号

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