猛暑日の日数の記録が大幅に更新された街も多かった2023年の夏も、さすがに終わり。しかし、東京ドームシティ アトラクションズのお化け屋敷「怨霊座敷」では、常設空間として1年中恐怖を体験できる。10月末までは、特別演出「呪いの硝子窓」が夏の盛りから来場者を怖がらせ続けている。

撮影/太田サトル
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「呪いの硝子窓」の演出を手がけるのは、お化け屋敷プロデューサーの五味弘文さん。お化け屋敷にストーリー性を持ち込み、赤ちゃんの人形を抱いて歩く「赤ん坊地獄」や手錠につながれた状態で歩く「恐怖の手錠地獄」、他にもかくれんぼの要素など、来場者がなんらかの役割を担いながらストーリー世界に参加するという、体験型お化け屋敷を確立し各地で展開する人物だ。

 今年の特別演出「呪いの硝子窓」は、タイトル通り要所要所に設置されリアルな映像演出が映し出されるガラス窓が演出の鍵となる。

 開催にさきがけて、お笑いトリオ・ネルソンズが実際にその恐怖を体験。お化け屋敷が大の苦手だというメンバーの和田まんじゅうがカメラを装着しレポートしたのだが、恐怖のあまりスイッチや配線をいじってしまったのか、または何かの心霊現象なのか(?)、レポート用に取り付けたカメラの映像が序盤に切れてしまい、レポートが映し出されるはずのモニターには何も映らず、和田まんじゅうの絶叫だけが響きわたるというシュールなレポートとなり、そのパニックぶりもある意味怖さをリアルに伝える結果につながった。

撮影/太田サトル

「今回のお化け屋敷では、志茂浩和さんというアーティストさんが独自に開発された映像技術に興味をもち、それありきで考えていったかたちです。日常の生活空間的なお化け屋敷の空間の中でそういう映像技術が生かせるとすれば窓や鏡しかないのかなと」

 何かが見えるのではないか、映り込むのではないかという恐怖感、そしてさらに割れる音などの聴覚的恐怖もガラスには存在する。

「ガラスが割れたりするような物が壊れるということは、恐怖に結びつきやすいんです。恐怖とは、整っていないということだと思うんです」

 五味さんが恐怖の本質を紐解いていく。

「人間が生きているということは、『整っている』ということだと思うんです。どういうことかというと、生き物は死んだ瞬間からどんどん崩れていきます。死とは整わない状態のこと。廃墟の怖さなんかも人間の営みが失われたことから生じた崩壊、死に通じるものがあります。崩壊を感じること、それが“怖い”ということなんです」

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五味さんが語る恐怖の本質