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生前の瀬戸内寂聴さん
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 俳優や映画監督としてだけでなく、俳人としても知られる奥田瑛二さん。夏井いつきさんとの子規トークをまとめた『よもだ俳人子規の艶』(朝日新書)では、正岡子規の句について語っているうちに、話題は奥田さんが俳句を始めた意外なきっかけに。本書から一部を抜粋、再編集し、紹介する。

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夏井:そもそも奥田さんが、俳句をやろうと思ったきっかけは何だったの?

奥田:俳句との出合いは三十代半ばで、ちょうど、テレビドラマの『金曜日の妻たちへIII』や『男女7人夏物語』に出演していた頃ですね。一年間、月刊誌『家庭画報』で著名な方々と対談するホスト役を仰せつかっていて、京都の瀬戸内寂聴さんを訪ねたんです。

 最初は超ビビっていたのですが、そこは寂聴さん、見事でしたね。対談が始まった三十分後には、「ブランデー持ってきて」と(笑)。真っ昼間に、いい感じに飲みながら対談をさせていただいたんです。取材終了後、「今日はあなたがいらっしゃると聞いて、素晴らしい山の料理屋さんを用意したのよ」と。

夏井:いいね、いいね。

奥田:ところが、そこからが一筋縄ではいかなかった。寂聴さんの庵、「寂庵」の本堂を降りたところで、やおら振り返ってこう仰った。

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あ、ちょっと待って。奥田さん、一句詠んで