商工会議所はどう受け止めているのか。茅ヶ崎商工会議所の専務理事が答える。
「仮置きに関しては、役所に相談をして承諾を得ていたんですけど、一部の方達から賛同が得られなかったことは事実です。どこに置くかは決まっていないものの、将来的には移転することも含めて、サザンビーチちがさきが適切だと判断しました。加山さんと言えば、えぼし岩が見える海が似合っていると考えたからです」
えぼし岩とは、茅ヶ崎海岸の沖合約1.4キロメートルに位置する「姥島(うばじま)」のことを指す。加山さんが中学生の時に自作した船で、えぼし岩に渡ったエピソードがファンの間で有名だという。
「サザンビーチにそもそも置くと提案したのはうちです。サザンオールスターズの関係で名前はついていますけれども、サザンにかかわるものしか置けないということでもないと考えていましたので。海はみんなの海ですから。市もいいねと話していました。ところが、一部の方から反対意見を受け、考え直しサザンビーチ案を下げたのです」(同)
茅ヶ崎市役所産業観光課の担当者が言う。
「ウチは商工会議所の提案を受け、市として使用許可を出しました。銅像を置く計画の主体は商工会議所なので、サザンビーチの関係者などには『前もって早めに話をしておいてくださいね』と伝えました。8月の話でしたね。そこで伝え方が不十分となり、今回の騒動が起きてしまったと思います」
ところが商工会議所の理事は、「茅ヶ崎市役所から、海の景観を守るNPO団体に話をしておくと言われて、私どもの方ではちょっと待ってたという状況だったんですね。行政さんの意思決定や行動が先だと考え、勝手に話に行くのはちょっと違うなと判断していました」と主張する。
再び市役所に問い合わせてみると、担当者は「NPO団体に話をしておくことは商工会議所にはしましたが、進捗を止めるような指示は特段お伝えしていません」と回答した。
加山雄三さんの銅像が凛々しく立つ日はやってくるのだろうか。
(AERAdot.編集部・板垣聡旨)