深夜の戎橋には千数百人の群衆が集まり、大変な熱気だったようだ。興奮し切った一部のファンらが道頓堀川へ飛び込んだり、全裸で走り回るなどした。
暴徒と化した面々もいた。ケンタッキーフライドチキン道頓堀店(現在は閉店)のカーネル・サンダース像を胴上げした揚げ句に川に投げ込んだり、「かに道楽」道頓堀本店では、名物の「動くカニの大看板」に数人がよじ登り、カニの足が折られた。
戎橋は自動車の通行が禁止にもかかわらず、「トラ模様」の車3台が橋を渡ったとの信じがたい記事もあった。
川に無理やりダイブさせられたカーネル・サンダース像は、長く“行方不明”となった。その後、阪神は18年間も優勝から遠ざかったため「カーネル・サンダースの呪い」ともささやかれた。
一方、甲子園球場周辺でも騒ぎは起きた。集まった300人が国道の側道をふさぎ、車約20台で球場周辺を回りだしたという。祝勝パレードのつもりだったのだろうか。
サンダースの呪いが解け、阪神が8度目のリーグ優勝を果たしたのは03年。優勝が近づくと、阪神球団はホームページで道頓堀川に飛び込まないよう、異例の呼びかけを行った。
周辺の銭湯やタクシー会社では、川に飛び込んだ客の利用を断る動きも。
だが、優勝が決まった9月15日の夜には道頓堀周辺に人が殺到。六甲おろしを大合唱の末、5300人もの人々が次々と道頓堀川にダイブした。ケガなどで5人が搬送され、全裸になるなどした7人が警察に逮捕された。その2日後には、川に飛び込んだ20代の男性が死亡する悲劇が起きた。