今年は橋にシートがかけられ、川に飛び込めないようになった。画像の一部を加工しています(撮影/今西憲之)

 85年に被害を受けた「かに道楽」道頓堀本店のカニの大看板はまたも標的に。よじ登られて、今度は目玉をもぎ取られてしまった。カニがあまりにかわいそうである。

 その2年後の05年。9度目のリーグ優勝時には、戎橋の通行規制などが功を奏し、飛び込みは大幅に減った。だが、今年はそれから18年たっており、再び警戒が強まっている。

 道頓堀商店会では、店頭にある看板などを優勝が決まり前にしまうなど、対策を周知した。

「かに道楽」道頓堀本店の14日の閉店時間は通常は22時だが、担当者は「優勝が決まったら閉店時間を早めるかもしれない」と話す。カニの大看板の下にあるひさしを外せば、肩車しても大看板によじ登ることが難しくなるといい、検討中だという。「対策をしなくてもいい状況になるのが一番なのですが……」と担当者は複雑だ。

 とはいえ、阪神優勝は関西には明るいニュースである。

 経済学が専門の宮本勝浩・関西大名誉教授(78)によると、阪神の「アレ」による関西圏の経済効果は872億2114万円。今春のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で侍ジャパンが優勝した際の654億3329万円を大幅に上回る数字だ。

 大の阪神ファンである宮本さんは、「アレ」に熱狂しすぎる阪神ファンの心理をこう読み解く。

「関西人はもともと、権威的なものに抵抗する気質があり、かつての常勝巨人には強烈な対抗心と劣等感にも似た気持ちを抱いていたと思います。なのに、めったに『アレ』できませんから、『アレ』のときはたまり続けたうっぷんが爆発するのだと思います。今しか盛り上がれないぞ、と」

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