「これは片付けられない人全般に共通することですが、多くの場合、片付けられないわけでも、片付け方を知らないわけでもない。ただどこかに寂しさを抱えていて、自己肯定感が低い傾向があります。その不安感が物をため込む動きにつながることが多い」(同)

 その自己肯定感も、片付けによって上げることができる。「片付ける必要がない」と口では言っている親でも、心のうちでは実は片付けたいと思っている場合もある。

「部屋が片付いていれば、自然と自己肯定感が上がりやすい。家が片付いたら元気になる人が多いですが、それは片付いたから元気になるのではなく、片付けられる自分に対して自己肯定感が上がって元気になるのです。そうした意味も含めて、片付いた部屋にいるのは、散らかった部屋の中にいるときより、心身ともに良い状態で過ごせることが多い」(同)

 いろんな世代の片付けを見てきた永井さんいわく、「一度“片付けスイッチ”が入ったら、若い世代より高齢者のほうが片付くスピードが速い」。なぜなら、使う物と使わない物がはっきりしていることが多いから。いざ片付け始めたら、思ったより早く片付くことも多いという。

 次回は片付け本番、実践に使えるコツやポイントを紹介する。(フリーランス記者・松岡かすみ)

週刊朝日  2023年3月10日号

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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