例えば断捨離ができないのも、これが原因です。「保有効果」は形のあるもの以外にも働きます。ソーシャルゲームの場合は、自分が得たアイテム、技術、ゲーム内の地位などにまで「保有効果」が働きます。
何の変哲もないマグカップにも「保有効果」
アメリカの行動経済学者ダニエル・カーネマンが行った、何の変哲もないマグカップを使って「保有効果」を証明した実験があります。マグカップを自分の手元に置いた人はそれだけで愛着がわき、手放したくないと感じました。
【Aグループ】
・マグカップをプレゼントでもらった
「いくらならそのマグカップを売るか?」と質問したところ7.12ドルと答えた
【Bグループ】
・マグカップをもらわなかった
「いくらならそのマグカップを売るか?」と質問したところ2.87ドルと答えた
実験では、Aグループの方がBグループよりも高値をつけた結果となりました。AグループとBグループの違いは、Aグループだけが一度マグカップを手元に置いたという点です。
Aグループの人には、手元にマグカップを置くことで愛着がわき、「保温効果」の心理が働いたと考えられます。また、マグカップを失ったときの悲しみを回避するためにマグカップに高い値段をつけた「損失回避」の心理も働いていることがわかります。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂)

