山川を獲得する球団は当然リスクが伴う。ファンから反発を受けることも想定しなければいけない。トレードでの放出が難航する可能性は非常に高い。その中で、獲得に乗り出す球団はあるか。在京スポーツ紙記者は「まだシーズン中ですし、目の前の試合に集中している。現時点では可能性が低いですが、中日がもしかしたら動くかもしれません」と推察する。

 「松井稼頭央監督は山川の今後を気に掛けている。西武でプレーが叶わなかったとしても、野球人としてもう一度グラウンドで復活して欲しいという思いは強いでしょう。松井監督はPL学園出身ですが、同校のOBは球団の垣根を超え、強い絆で結ばれている。中日の立浪和義監督は松井監督のPL学園の先輩で尊敬の念を抱く存在です。中日と西武が対戦する際は松井監督が立浪監督へ挨拶に出向き、会話を交わしている。強固な絆で結ばれている松井監督が胸中を明かし、立浪監督が球団フロントと話し合った上で山川の獲得を検討するかもしれません。中日に限った話ではないですが、トレードが実現した場合は交換要員となる選手の感情も配慮しなければいけない。無償トレードになるのでは」

 ファンやスポンサーの心情にも、当然配慮しなければいけない。ただ、戦力面という観点で考えた時、山川をトレードで獲得することが中日のプラスアルファになることは間違いない。最下位に低迷している今季は長年の課題である深刻な貧打が要因になっている。中軸で期待された新外国人のアリスティデス・アキーノは20試合出場で打率.154、1本塁打、3年ぶりに復帰したソイロ・アルモンテは28試合出場で打率.189、1本塁打と振るわず、5月以降は共にファーム暮らし。18年に首位打者を獲得するなど、主力打者として活躍したダヤン・ビシエドは衰えが目立つようになり、和製大砲として期待される石川昂弥も殻を破り切れていない。

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球を遠くに飛ばす打撃技術は球界屈指