――ポルトガルで開かれた国際会議から先週、お帰りになったんですね。
はい、「確率過程とその応用」という国際会議で基調講演をしました。これまでの人生で一番大きな会場での講演でした。毎年開かれる国際会議で、ほかの人の話も面白かった。体感として、少なくとも3割は女性でした。日本に帰ってくると、本当にギャップが大きい。国内の研究集会だと、女性は私1人みたいなことがいまだにある。
――それにしても、子育てをし、数学界を変えていく活動もするなかで、数学の研究をやる時間はどうやってひねり出しているんですか?
それが大問題なんです! 共同研究が多いので、共同研究者と会う時間をどんどん予定に入れるようにはしています。海外に行くと、飛行機の中とか1人の時間が取れるので、そういうときにワーッと考える。でも、海外で新しい人に出会うと、また面白そうな問題が出てくるんですよ。すでにやりたい問題がこ~んなに溜まっているのに。あとは論文を書くだけというものもあるし、新たに解きたい問題もいっぱいある。どれを先にやるか、バランスが難しい。正直困っているんです。