佐々田槙子さん=東京大学駒場キャンパス
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 東京大学大学院数理科学研究科准教授の佐々田槙子さん(38)は、「数理女子」というウェブページ(http://www.suri-joshi.jp/)で女子生徒やその親たちに数学の魅力を発信しつつ、数学界にいる人たちがジェンダーや社会の問題についてもっと気楽に語り合えるようにと働きかけてきた。専門は確率論、統計力学。小学生と保育園児を銀行勤務の夫とともに育てながら、1人の時間が取れたときに「ワーッと」数学を考える日々。「女性数学者があまりに少ない」という日本の現状をなんとか変えたいと自然体で突き進む。(聞き手・構成/科学ジャーナリスト・高橋真理子)

【写真】パンデミック真っ最中のニューヨークで子育てのリアル

>>【前編:女性数学者38歳が東大数理科学研究科にもたらした変化 「数学の魅力をたくさんの女子へ」】からの続き

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――2015年に東大数理科学研究科に准教授として着任し、周囲を巻き込みながら、誰もが研究しやすい環境へと一つずつ変えてこられたんですね。着任の前年に第一子誕生ということでしたが、ご結婚はいつ?

 2013年4月です。夫は修士のときの同級生で、テニスや旅行をよくしていた10人ぐらいの仲良しグループの1人です。彼は修士を終えて銀行に就職しました。仲良しグループは数学以外の人もいたんですが、みんな就職して、そのまま博士課程に進んだのは私1人でしたね。2年後に私が慶応大学に就職してから、結婚を考えるようになった。それからなんだかんだ準備に時間がかかって、結婚式が2013年4月でした。

 彼は就職してから博士号を取り、2019年1月から2年間、ニューヨーク勤務でした。それで私もむこうで仕事をしようと子どもを連れて4月から行きました。東大には、若手研究者が海外で長期研究するのを支援するプロジェクトがあるんです。それに応募したら採択された。ニューヨークには素晴らしい研究者がいっぱいいるので、よい刺激をもらい、すごく研究が進みました。

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パンデミックの最中に二人目を出産