小室眞子さんが、国際基督教大学の留学説明会で出会ったのが夫の圭さんだった。その瞬間、眞子さんの曖昧だった人生設計が像を結んだ。勝手にそう想像している。結婚にあたっての記者会見で眞子さんは、婚約発表後の圭さんの留学について、「圭さんが将来計画していた留学を前倒しして、海外に拠点を作ってほしいと私がお願いしました」と語った。「海外の拠点作り」を眞子さんは人生の道しるべにし、自身の留学の意味も明確になったはずだ。

「天皇家の長女」愛子さま 小室眞子さんとは違う

 那須御用邸に話を戻すと、愛子さまはカメラを前に「那須は本当に自然が豊かで空気もとてもきれいなので、豊かな自然に触れながら、リフレッシュできればな、と」と言っていた。そして「大学、残り半年、残り半分、いろいろなことに取り組んでいけたらと思っております」と続けた。「半年」の語尾を上げ、疑問系のように言い、「半分」と言い直す。“普通の女の子”の語り口だった。だが、愛子さまは「天皇家の長女」であり、「天皇家の次男の長女」だった眞子さんとは違う。それを思うと、また少し切なくなる。

 安定的皇位継承のあり方については2021年12月、政府の有識者会議が「女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する」「旧宮家の男系男子が養子として皇族復帰する」の2案をまとめている。が、それを受けて国会が何かを検討しているという話は全く聞かない。事態を止めているのが「男系男子」を絶対視する人たちの存在なのだとすれば、愛子さまの切なさを救えるのは国民だけだ。そこを忘れてはいけないと、個人的には思っている。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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