尋常でない細さに、愛子さまはなんて生きづらそうな少女なのだと痛感した。ご一家の服装はベージュが基調になっていて、今では「リンクコーデ」としてすっかり定番になっているが、当時はただただ愛子さまを励ますファッションのように感じたことを覚えている。

 冒頭に戻るなら、愛子さまが最初にショートヘアになったのはこの2年後のことだ。顔もふっくらとして、元気そうだったことに安心した。ショート2度目の2021年は令和になっていたから、愛子さまの「自立の証し」だと思った。皇后になり、確かな歩みを見せる母。大学生になった娘。二人してそっくりな髪形で立ち向かわずとも、それぞれが皇室に居場所を得た。その証しだと思った。

ことの本質は愛子さまの微妙な立ち位置

 さて、ここからがやっと本題だ。自分で書いておきながら、「証し」ってどうだろうと思う。愛子さまは一人の大学生だ。前回のショートは、すぐに伸ばした。2年後の夏にまた短くしたのは気分転換か、あまりに暑い夏を乗り切る対策か。いずれにせよ、たかが髪形なのだ。

 なのに意味を感じてしまう理由は、縷々書いた。が、結局のところ、ことの本質は愛子さまの微妙な立ち位置なのだと思う。愛子さまを「生きづらそうな少女」と思ったと先述した。「すごく繊細なんだな」と思っていたのだが、その根本を見ていなかった。何かというと、愛子さまは生まれた時から「男の子でない」という現実だ。愛子さま誕生の5年後、秋篠宮家悠仁さまが生まれたが、それでも皇室最大の課題は「安定的皇位継承の確保」にある。

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なぜ、心が痛むのか