夏の甲子園ではチームの優勝に貢献したU-18日本代表・丸田湊斗
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 8月31日に開幕するWBSC U-18ベースボールワールドカップ。侍ジャパンは9月1日にオープニングラウンドの初戦(対スペイン代表)を迎える。

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 8月28日に行われた大学日本代表との壮行試合では0対8で完敗。大学日本代表の投手陣が歴代でも最高レベルの顔ぶれということもあるが、打線はわずか3安打に抑えられ、チームを指揮する馬淵史郎監督も試合後には打順についてもう一度考え直すとコメントしている。

 では今回のメンバーで結果を残すためにはどのように戦うのがベストなのだろうか。まず光明が見えたのは投手陣だ。大学日本代表には8点を奪われたものの、内容が光った投手は少なくなかった。中でも実力を見せたのがともに夏の甲子園出場を逃した前田悠伍(大阪桐蔭)と木村優人(霞ヶ浦)の2人だ。

 前田は二段モーション気味のフォームに変更したことでボールの勢いも制球も安定したように見え、2回を投げて3奪三振、無失点と好投。特にチェンジアップのブレーキは抜群で、良い時の状態に戻っている印象を受けた。課題だったスライダーのスピードが上がってきたのもプラス要因だ。

 木村も6回から登板して1回2/3を無失点。カットボール、スプリットは打者の手元で鋭く変化し、カーブとチェンジアップの緩いボールも有効だった。数多くの大舞台を経験してきた前田とは対照的に甲子園はおろか、関東大会の出場経験もないが、それでも東京ドームの大観衆の前で力を発揮できたのは大きな自信となったはずだ。大事な試合ではこの2人に先発のマウンドを任せるのが妥当ではないだろうか。

 投手陣の運用でカギになってくるのがリリーフ陣だ。重要な試合の抑えはこれまでの経験を考えても、昨年夏の優勝投手にもなった高橋煌稀(仙台育英)が筆頭候補と考えられる。大学日本代表との壮行試合でもU18侍ジャパンでは最速となる149キロをマークするなど、スピードに関しては問題ないように見えた。ただ持ち味のコントロールは不安定で、夏の甲子園で決勝戦まで戦った疲労も考えられる。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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