状態がもうひとつと判断した場合は、森煌誠(徳島商)を抑えで起用するというのも面白い。ストレートの力は申し分なく、スプリットという決め球があるところにも抑えとしての適性が感じられる。また縦のスライダーが光る東恩納蒼(沖縄尚学)も候補となる。短期決戦だけに、状態を見極めながら柔軟に起用していくことが重要になるだろう。

 そして最大の課題は冒頭でも触れたように打線をどう組んでいくかという点だ。守備と走塁、小技ができるメンバーを選んでおり、どうしてもパンチ力には乏しい印象は否めない。大学日本代表との壮行試合を見る限り、ある程度長打が見込める選手としては寺地隆成(明徳義塾)、森田大翔(履正社)、武田陸玖(山形中央)の3人になりそうだ。

 壮行試合では寺地が1番に入り、森田と武田が4番、5番に並ぶ形だったが、この3人をクリーンアップに並べるのが良いのではないだろうか。寺地を2番にするというのも面白いが、馬淵監督の考え方からすると1番が出塁すれば2番は送りバントという作戦が多くなることが考えられ、そうなると寺地の打力を生かしきれないことになる。この3人にはある程度自由に打たせる方が、得点の期待値も上がるだろう。

 そうなってくると重要なのが1番と2番だ。適性を考えればともにチームで1番を打っている丸田湊斗(慶応)と橋本航河(仙台育英)の2人が並ぶというのがオーソドックスな考え方のように感じられる。そしてバッティング練習では丸田の方が木製バットに対応できていたことを考えると、丸田を1番に固定というのが妥当ではないだろうか。そして橋本は打球がどうしても左方向に偏る傾向が強いため、追い込まれてからの進塁打という点では不安が残る。上位3人に左打者が並ぶと、左投手との対戦で不利になることも考えられるだけに、ケースによっては橋本を9番に下げ、2番には右打者で小技もできる緒方漣(横浜)か高中一樹(聖光学院)を置くことも検討したい。

 もう一つ試したいのが打者としての木村の起用だ。チームでは下級生の頃から中軸を任されており、長打力も備えている。投手としては重要な試合の先発起用に絞って負担を減らし、それ以外は外野手として出場することで得点力アップも期待できる。馬淵監督も課題と話していた下位打線に厚みを持たせるためにも、6番以降で外野手として木村を出場させるべきだろう。

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“スラッガー不足”に批判もあるが…