AERA 2023年9月4日号より

野球と鉄道の蜜月

 中でも、プロ野球がセ・パ2リーグ制になった1950年には、15球団中、実に7球団の「親会社」が鉄道系だった。セ・リーグは、阪神電鉄と国鉄(現・JR)の2社。パ・リーグは西日本鉄道、阪急電鉄、近畿日本鉄道、南海電鉄、東急電鉄の5社がプロ野球を持った。翌51年には、名古屋鉄道が中日ドラゴンズに経営参加した。

 なぜ鉄道会社が球団を保有するのか。鉄道経営に詳しい、江戸川大学の大塚良治(りょうじ)教授(経営学)は二つの側面があると話す。

「まず、沿線に本拠地球場を構えることで野球観戦に使ってもらい鉄道利用者を増やすこと。そして沿線のイメージ向上を狙う広告塔ということです」

 だが、1990年ごろから、鉄道会社は次々と球団経営から撤退する。1988年、南海電鉄は南海ホークスを、阪急電鉄は阪急ブレーブスを手放した。2004年には、近畿日本鉄道が近鉄バファローズを放出した。大塚教授は言う。

「撤退するのはパ・リーグが多かったが、セ・リーグのドル箱である巨人戦に頼ることができなかったため、観客動員は伸び悩み、赤字となります。その赤字を、親会社が広告宣伝費として補填していたわけですが、それも重荷になってきたということだと思います」

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