西武鉄道の通勤車両「40000系」(左)と、大きな客室窓と西武カラーの黄色の座席が特徴の「特急ラビュー」(写真:西武鉄道提供)

沿線や地域の魅力創出

 こうして今もその歴史を刻み続けているのは、冒頭の西武と、他には阪神──の東西2社のみとなった。

 西武がプロ野球に参入したのは1978年。福岡・平和台を本拠地としたクラウンライターライオンズの球団経営権が西武グループに譲渡され、西武ライオンズが誕生。本拠地を福岡から所沢に移転した。

 西武鉄道は、埼玉西武ライオンズの存在の意義をこう話す。

「国内に12しかないプロ野球チームの一つである埼玉西武ライオンズは、西武グループのシンボルかつイメージリーダー。西武鉄道沿線にエキサイティングでチャレンジングな印象を与えてくれています」

「多くの方々が『住みたい』『訪れたい』『働きたい』と思える、魅力あふれる沿線を創造し、人と人がゆるやかにつながる『知縁』を育むことを目指している」(阪神電鉄、写真:MIKIKO)

 一方の阪神電鉄は、35年に球団を創設。それが今の阪神タイガースで、現存するプロ野球12球団中、前年の34年に誕生した巨人の前身「大日本東京野球倶楽部」に次いで2番目に歴史が長い。

 阪神電鉄にとって、阪神タイガースと阪神甲子園球場は「キラーコンテンツ」だという。

「一体的かつ持続的に提供することによって、ベースボール事業自身の成長や鉄道旅客数の増加だけでなく、他にはない沿線や地域の魅力を創出することもできる」(阪神電鉄)

(編集部・野村昌二)

AERA 2023年9月4日号より抜粋

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野村昌二

野村昌二

ニュース週刊誌『AERA』記者。格差、貧困、マイノリティの問題を中心に、ときどきサブカルなども書いています。著書に『ぼくたちクルド人』。大切にしたのは、人が幸せに生きる権利。

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