――東京電力福島第一原発の処理水の放出についても理解が得られたとは思えません
処理水については、岸田首相は8月22日の関係閣僚会議で「風評被害などの不安に、政府として責任を持って取り組む」と表明し、24日の海洋放出を決めました。福島県内の漁業関係者は「約束が破られた」と憤りをみせています。
当初の「関係者の理解なしにいかなる処分もしない」といった方針は忘れ去られ、地元漁師の声すら拾えていない。これは自分の政治的な信念で業務を行っていない表れではないでしょうか。処理水を飲んでみるなどして、自分の政策決定を大きくみせるということすらないわけです。
旧統一教会の問題も解決していない
――マイナンバーカードの問題についても、世論調査では「指導力不足」という評価が高いようです
マイナンバーカードをめぐる一連のトラブルについて、政府はいまマイナンバーに関するデータの「総点検」中で、2024年秋に控えている健康保険証の廃止に固執しています。「聞く力」が売りの岸田首相が延期や廃止を求める声を完全に無視して世論に答えていません。
岸田首相にとっては、マイナンバーも総務相や厚生労働相、デジタル庁の問題と思っているのではないでしょうか。
――政権が誕生してからこれまでに解決した課題があったでしょうか
内閣発足時から岸田首相は、旧統一教会や長男で元首相秘書官の翔太郎氏による首相官邸の不適切な利用など、さまざまな問題に直面してきました。旧統一教会については、自らが先頭に立って、関係した議員に辞表を出させるなど、目に見える形で問題を解決してはおらず、長男の更迭でもかなりの時間を要し、身内に甘いという指摘を受けました。