内閣支持率は厳しい数字が続く。岸田文雄首相
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 岸田文雄内閣の支持率の下落が止まらない。朝日新聞が19、20日に行った世論調査では、岸田内閣の支持率は33%で、22年12月の31%に次ぐ低さだった。前回の7月調査は37%で4ポイント下がり、下降は3カ月連続。8月24日に始まった福島第一原発の処理水放出についても、4割超の理解は得られていない。岸田首相の問題点を政治ジャーナリストの角谷浩一さんに聞いた。

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――岸田政権になってから、これといった目立った政策が見えてきません

 岸田さんはもともと、首相としてのビジョンをお持ちではなかったひとです。これをやり遂げたい、これが目標だ、というのをあまり掲げた経験がないんですよね。

 実際に総裁選で岸田首相が訴えたことは、何一つ実行されていません。看板政策の「新しい資本主義」は理念のみにとどまり、所得と再分配は実現されていない。そのほか、「新しい資本主義」に関する野党からの質問に対しても、あいまいな答弁ばかりで議論が深まっていないのです。

「異次元の少子化政策」をめぐって政府は6月、児童手当や奨学金の拡充を発表しました。所得制限を撤廃し、高校生の年代まで児童手当の支給期間を延長。多子世帯への増額(第3子以降3万円)が盛り込まれ、少子化対策に歯止めをかけようとしています。ところが、この財源については「年末までに結論を出す」と先送り。国民の不安や不満は高止まりのままです。

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政治的な信念で業務を行っていない