子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。
よい習慣、思考力、アイデンティティを作る教育
「人生は、生まれた環境によって左右される」とよく言われます。
たとえば、“金持ちの子どもは金持ちになり、貧しい家庭の子どもは大人になっても貧しいまま”などと言われることがありますが、果たして、それは真実なのでしょうか?
長年教育に携わってきて、様々な子どもたち、そして親たちを見てきました。アジア人や欧米人、また文化や経済的なバックグラウンドはまったく異なる親子たちです。
天才と呼ばれる子どもと、その親。かつては神童と呼ばれていたものの、人生の中で挫折してしまった子どもと、その親。また、ティーンエイジャーくらいからメキメキと実力をつけて、圧倒的な能力を身につけていった子どもと、その親など。
様々な人生模様がありますが、何が人生を分けているのでしょうか。
それは、よい家庭教師をつけることでも、評判のいい学校に入れることでもありません。決定的な差を作っているのは、親のあり方なのだということを私はまずお伝えしたいです。
たしかに、ビジネスで成功している人の子どもが、親と同じように学業やビジネスで成功していく例は多々見られます。
経済的に豊かであれば、子どもによりよい教育環境を与えられる……というのは、決して嘘ではないでしょう。
しかしながら、経済的に豊かな家庭で育った子どもが全員うまくいっているかといえば、当然そんなことはありません。
むしろ、親からの期待やプレッシャーが強すぎるあまり、「子ども不在」の教育でつぶれてしまう子どもは世界にごまんといるのです。