慶応(神奈川)の小宅雅己投手(撮影=写真映像部・東川哲也)
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仙台育英(宮城)の湯田統真投手(撮影=写真映像部・松永卓也)

『KEIO』と『IKUEI』。

 胸にしたためられた英字の違いはあれども、グレーを基調としたユニフォームはそっくりだ。もともとは、慶応の伝統あるユニフォームを模範に、現在の仙台育英のそれは作られたものだという。ただ、今夏のチームに限って言えば、「模範」と言うべきか、目指すべき相手を仙台育英と定めて突き進んできたのは慶応のほうだった。
 

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 今春のセンバツ。ともに初戦となる2回戦で両校は対戦している。延長10回タイブレークの末に仙台育英が勝利を手にするのだが、その敗戦を機にチームが成長してきたというのは慶応の森林貴彦監督だ。

「センバツでは、仙台育英にサヨナラ負け(1対2)を喫して悔しい思いをしました。相手投手陣の力と守備力を見せつけられた。それが基準となって、チームは夏へ向かっていきました」
 

 今夏の甲子園。土浦日大との準決勝で完封した2年生エースの小宅雅己を中心に、森林監督が「信頼している」と言う左腕の鈴木佳門と右腕の松井喜一を含めた投手陣は粘り強くマウンドを守ってきた。準決勝までの4試合で43安打24得点の攻撃力も際立つ。試合前日、または前々日のチームミーティングで、ホワイドボードに四字熟語を書いて気持ちを昂らせるのが、今大会のゲン担ぎだ。準決勝前に記された言葉は「意気衝天」。森林監督は言う。

「気力を充実させて臨もうという意味で」

 その言葉通り、慶応の心技体には充実感が漂う。

 仙台育英は、準決勝までの5試合でいずれも強豪校を打ち砕いてきた。計59安打、5本塁打、得点は「46」に及ぶ。神村学園との準決勝では、試合序盤から何度となく盗塁を仕掛けて相手に重圧をかけ続けた。神村学園の小田大介監督が悔しさを滲ませる。

「あれだけ走られると、バッテリーはどうしても打者に対する集中力を欠く。投手は、真っすぐ系のボールが増えますし、しっかりと投げ切れずに甘くなったところを打たれる。警戒はしていたんですが、相手のほうが上回っていました」

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