石井さんは3年前、横浜の山下埠頭(ふとう)に展示された実物大の「動くガンダム」を開発した際、筆者にこう語った。
「大学時代、本当はガンダムをやりたかったんです。もっとでかいのを作って、自分が乗って動かしたかった。ぼくらの世代はガンダムを見て『カッコいい』と思って、ロボットのエンジニアを志した人が山ほどいます。研究室の同期とかもガンダムにめちゃくちゃ詳しい。というか、そういう人しかいなかった(笑)」
石井さんは「自分が乗って動かすには全高18メートルのガンダムは大きすぎる。次は5メートルくらいの搭乗型ロボットをやりたい」とも語っていた。
それが始祖鳥の学名、アーケオプテリクスから名づけられた今回のアーカックスだったわけだ。
デザインとメカ設計の両立
アーカックスの骨格は建設機械を作るノウハウを用いて、各部の重量に見合った構造設計がされている。駆動系には産業ロボット用のデバイスが採用され、EV用バッテリーから供給される電力でモーターを動かす。外装はFRPなどで作られ、注文によって形状や色が変えられる。
「動くロボットとしてのデザインとメカ設計は綿密にすり合わせをしていかないと、製品のクオリティーが上がりません。デザインと動き、どちらかが優先してしまうと、どっちつかずのものになってしまう。なので、社内の専属デザイナーと細かく打ち合わせをしながら作り上げていきました」