AERA 2023年8月28日号より
この記事の写真をすべて見る

 1923(大正12)年9月1日に発生し、首都圏に甚大な被害をもたらした関東大震災。今年で100年を迎えるいま、首都圏を襲うとされるのが「首都直下地震」だ。大地震の発生可能性や揺れやすい場所などについて専門家に聞いた。AERA 2023年8月28日号より。

【図】東京23区の被害想定がこちら

*  *  *

 そもそも、首都直下地震はどのようにして起きるのだろうか。地震のメカニズムに詳しい東京大学地震研究所の古村(ふるむら)孝志教授(地震学)は、「様々なタイプの地震が起き得る」として次のように話す。

「関東がのっている北米プレート(岩板)の地下深部には南からフィリピン海プレート、さらにその下に東側から太平洋プレートが沈みこみ、三つのプレートが複雑に重なり合っています。地表近くには活断層も複数走っています。つまり、首都直下地震は、ひずみがたまったプレート境界のズレ、プレート内部の破壊、活断層が動くなど様々な要因で起きる可能性が考えられます」

 古村さんによれば、関東大震災を引き起こした関東地震は、フィリピン海プレートが北米プレートの下に沈み込む相模トラフ沿いで発生したことがわかっている。この場所では200年から400年に1度の間隔でM8級の巨大地震が起き、前回から100年しかたっていない。M8級の地震はしばらく起きないと見る。

「ただし、一回り小さいM7級の地震は関東周辺で100年に2、3回の割合で起きていて、近い将来に首都圏のどこかで大地震が発生する心配があります」

次のページ