巨人は球団の歴史として、「純血主義」をほぼ貫いてきた。歴代監督の中で、現役時代に巨人一筋でなく他球団でプレー経験があるのは藤本英雄氏のみ。他の監督は巨人一筋の現役生活だった。外部招聘からの監督就任が実現するか注目されたケースは、過去にあった。03年から3年連続で優勝から遠ざっていた05年、中日、阪神でリーグ優勝、楽天で日本一に導いた星野仙一氏が監督の有力候補に挙がったが、「巨人・星野監督」が実現することはなかった。
スポーツ紙遊軍記者は「今までの巨人は長い低迷期がなかったので、外部招聘の必要性を感じなかった。純血主義にこだわっているわけではないと思います。もし、純血主義にこだわるなら工藤氏だけでなく、日本ハムでプレー経験のある二岡2軍監督、ファンから監督待望論が強い桑田ファーム総監督、松井秀喜氏(現ヤンキースGM付特別アドバイザー)もメジャーでプレーしているので候補から外れてしまいます。チームを強くするために最善の選択をすべきで、外部招聘も一案です」と提言する。
巨人ファンはどう考えるだろうか。ファン歴40年の男性(66)は「原監督から阿部ヘッドコーチに次期監督を禅譲するという路線でいい。原監督は優勝してバトンタッチしたかったと思うが、まだチームが熟していない。来年まで任期を全うして、原イズムを叩きこまれた阿部ヘッドが次期監督で長期政権を築くのが理想でしょう」と期待を込める。一方で、30代の男性は「首脳陣も若返りを図るべきだと思う。阿部ヘッドコーチは一度ユニホームを脱いで外から野球を勉強する時間が必要なのでは。ヤクルトの高津(臣吾)監督、ロッテの吉井(理人)監督のようにメジャーを経験した指導者が監督になってほしい。桑田さんが監督、上原(浩治)さん、高橋尚成さんが投手コーチに就任してくれれば野球が変わると思う」と話す。
残り試合数が少なくなり、1つも落とせないヒリヒリした試合が続く。原巨人は意地を見せられるか。3年連続V逸が現実になった時には、監督の去就問題も注目されることになりそうだ。
(今川秀悟)