敗れた池田・蔦文也監督は「ウチは緊張のあまり、選手の心が上ずり、慌てたところがあった」の反省をもとに、チームを精神的にも鍛え上げ、3年後の82年夏に全国制覇をはたしている。
 

「キック疑惑」2017年の大阪桐蔭vs仙台育英

 ゴロを打って一塁に駆け込んだ打者走者が一塁手の右足を蹴ってしまう形となり、負傷させたことが回りまわって勝敗に影響したとされる“キック疑惑”が取り沙汰されたのが、2017年3回戦の大阪桐蔭vs仙台育英だ。

 問題のシーンは0対0の7回、仙台育英は2死から6番・渡部夏史が遊ゴロに倒れ、スリーアウトチェンジになったが、一塁に駆け込んだ際に、送球を前傾姿勢で受けながらベースを踏んでいたファースト・中川卓也の右足を蹴り上げる形になった。

 中川は激痛でしばらく起き上がれなかったが、その後も出場を続け、8回には自らの左前タイムリーで貴重な1点を叩き出した。

 ところが、1対0で勝利目前の9回2死一、二塁、遊ゴロでゲームセットと思われた次の瞬間、送球を受けた中川はベースをまたぐ形になり、まさかの一塁セーフ。直後の2死満塁から2点タイムリー二塁打が飛び出し、残酷とも言うべき幕切れで、大阪桐蔭の春夏連覇の夢が消えた。

 試合後、中川自身は「こういうミスをしてしまうのは、自分の実力不足。(痛めた右足の)影響はありません」と説明したが、ネット上では「わざと蹴った」「殺人キック」など、渡部を誹謗中傷する言葉で溢れ、大炎上。渡部は、一時は「野球をやめたい」と思い詰めるほど心を傷つけられたという。

 その後、両者は10月の愛媛国体で同じ宿舎に泊まった際に、騒動を気にかけていた中川が渡部の部屋を訪ねる形で再会が実現。交友を深め合った。

 翌18年、大阪桐蔭の主将になった中川は、前年の敗戦を反省材料にチームをよくまとめ、同校では2度目となる春夏連覇をはたしている。
 

「サイン盗み」2013年の花巻東vs鳴門

 二塁走者が捕手のサインを見て、相手の情報を伝達する“サイン盗み疑惑”が論議を呼んだのが、13年の準々決勝、花巻東vs鳴門だ。

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