知事の判断と足並みをそろえるように、17年から新たな「追悼式」がおこなわれるようになったのだ。

 朝鮮人犠牲者追悼式典とほぼ同時刻、公園内のわずか20メートル離れた場所でおこなわれるのは、「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」(以下=「慰霊祭」)である。「石原町」とは、墨田区石原町――つまりは会場となった横網町公園一帯を含む地域の町名だ。

 要は震災によって甚大な被害を被った地元・石原町住民のための「慰霊祭」ということなのだが、名称の冒頭に「真実の」なる文言があることで、座が一気に匂いたつ。

 お察しの方も多かろう。

 そう、朝鮮人虐殺の「否定論」の立場をとる者たちがおこなった集会だ。

 主催団体のひとつに名を連ねるのが「そよ風」なる女性グループである。同団体は、在日コリアンの排斥運動、ヘイト活動を繰り返してきた在特会などとも共闘してきた。付言すれば、小池知事が朝鮮人追悼式典への追悼文送付を中止した背景には、同団体による議会へのロビー活動があったことを指摘する関係者も少なくない。

 また沖縄に関しても〈沖縄県民は古来、正真正銘日本人だ!〉〈沖縄は既に中国の手に渡ろうとしています。我々の手で沖縄を取り戻すのは今だ!〉なる主張をサイトに掲載するなど、いわゆる「ネトウヨ」と称されるグループのひとつでもある。

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歴史否定の言葉やヘイトスピーチ