学校単位の「部活動」が特徴の日本サッカー界では、しばしば「高校サッカー」と「Jユース」の“どちらが上か”が議論の対象になってきた。近年では両者が同じ舞台で競い合うシステムが整備されて境目がなくなってきたが、それでも高校サッカー界には依然としてユースでは経験できない特別なものがある。では、そこで育った選手たちは現在、どうなっているのか。近年の高校サッカー界のスターたちを年度別に振り返りたい。
2018年度の選手権の決勝は、青森山田が3対1で流経経済大柏を下し、大会優秀選手に選ばれた3年生には、檀崎竜孔(青森山田)、バスケス・バイロン(青森山田)、関川郁万(流注経済大柏)らがいた。
決勝で2得点を挙げた檀崎は、札幌から国内外のクラブを渡り歩いて現在はオーストラリアリーグでプレー。必殺のドリブルでスタンドを沸かせたバスケス・バイロンは、いわきFCから東京VへステップアップしてJ2の舞台で活躍すると、今夏に恩師・黒田剛監督が率いる町田への“禁断の移籍”で注目を集め、今後の働きが注目される存在になっている。そして圧倒的なフィジカルを見せつけていた関川は、鹿島で壁にぶつかりながら一歩ずつ、着実に成長を遂げ、今季はレギュラーCBとして働いている。
2019年度の選手権の決勝は、静岡学園が3対2で青森山田を下し、大会優秀選手に選ばれた3年生には、松村優太(静岡学園)、武田英寿(青森山田)、畑大雅(市立船橋)らがいた。そして同学年のスター選手には、荒木遼太郎(東福岡)、染野唯月(尚志)、西川潤(桐光学園)、鈴木唯人(市立船橋)という面々が揃う。
「和製アザール」とも呼ばれた松村は、鹿島入団1年目からリーグ戦13試合に出場。今季も控えの立場ではあるが、切れ味鋭いドリブルを披露している。世代随一のゲームメーカーとして騒がれた武田は、浦和では出番を得られなかったが、期限付き移籍先の水戸で今季、2得点6アシストと才能を開花させ始めた。