昨年12月9日に初めて開催された現役ドラフトで指名された選手たちの明暗が分かれ始めている。開幕直後は一軍の舞台で指名選手を見かける機会も多かったが、シーズンが進むにつれ出場機会にも差が出てきた。結果次第では、現役ドラフトの今後の方向性も大きく変わってくることが予想される。
現役ドラフトは、各球団で出場機会に恵まれない、「くすぶっている」選手を他球団が指名するもの。過去にも似たような制度の導入はあったが定着しなかった。昨年行われた現役ドラフトについては、将来的な定期開催を視野に入れているだけに、球界関係者の熱視線が注がれている。
「実際、現役ドラフトで移籍した選手への期待はそこまで大きくなかった。タイミングや編成上の都合もあるが、所属チームで出場機会に恵まれなかったのは、なにか足りない部分があり結果を出せていないからだった。(活躍している)阪神・大竹耕太郎(前ソフトバンク)、中日・細川成也(前DeNA)には本当に驚いた」(在京テレビ局スポーツ担当)
現役ドラフトで活躍が目立つのは大竹と細川の2人だ。
大竹は2017年の育成ドラフト4位でソフトバンクに入団。2019年には一軍で5勝を挙げるなど早くから戦力となっていたが、その後は巨大戦力の中でなかなか殻を破れず、現役ドラフトでの移籍が転機となった。今季はここまで14試合に先発して、7勝1敗、防御率1.89と首位を走る阪神の原動力となった。
一方の細川は2016年のドラフト5位でDeNAに入団。毎シーズン二軍では本塁打王争いをするなど有望株としてファンの期待が大きかったが、DeNAでは6年間で通算41安打、6本塁打にとどまっていた。大竹と同じく移籍後にブレークを果たし、打率.286(357打数102安打)、16本塁打、62打点と完全にチームの中軸となっている。
「大竹と細川は活躍しているが、それ以外の現役ドラフト組は苦戦している。オコエ瑠偉(楽天→巨人)、陽川尚将(阪神→西武)などは上位進出へのキーマンになる可能性もあると思っているのですが……」(在京球団編成担当者)