▼事故の詳細を説明できない
個室利用が増えたこともあり、職員のいない所での転倒はあります。そのお年寄りの部屋に職員が訪室したら転倒していた、などが多いでしょう。転倒したときは見ていなくても、トイレに行こうとしていたのか、靴をはいていたか、手すりをつかみ損ねたかなどは、観察できます。いつ、どこで、どんなふうにケガをしたのか、施設側がわかる範囲で説明がなされるかがポイントです。見ていなかったからわからないなどという説明では、不誠実でしょう。
▼経過報告をまめにしてこない
治療後の様子、職員同士で話し合った原因究明、今後の再発防止策など、定期的に、あるいは進展があったときにまめに連絡をくれるのが、家族が安心する対応の仕方です。時に、職員で話し合った会議録を家族に見てもらうこともあります。
違和感や不信感はそのままにせず、話し合って解決する
一度抱いた違和感や不信感は自然に消えるものではありません。まずケアマネジャーに相談してみてください。ケアマネの対応がすっきりしないものだったら、フロアの責任者、さらには施設長と、上位の人に話をしてみましょう。原因究明や改善策など、速やかに話が進む場合もあります。
それでも施設側の態度が変わらず、行政(介護保険課)に相談しても解決の道筋が見えないときには、思い切って退去を考えましょう。そのままでは、大きな事故、あるいは虐待につながるような可能性もゼロではないからです。
退去希望の背後には介護職への嫉妬があった
退去の申し出は、そう頻繁にあるわけではありません。私がかつて勤務していた施設で、一度、こんなことがありました。
認知症の夫が入居した女性で、毎日、朝7時になると面会に来て、いろいろな要求を口にされます。ちょうど朝食前で、施設中がばたばたしている時間です。「うるさくて落ち着かない」「朝は空腹だからもっと早く朝食をとらせてほしい」などなど。面会時に「最近はトイレ介助のタイミングもつかめて、失敗しないようになりました」という職員の報告にも、「当然でしょ」という答え。