エリザベス女王は昨年9月8日に亡くなり、国葬は9月19日にウェストミンスター寺院で執り行われた。世界中の国王、大統領、首相などが参列した。
国葬後、ヘンリー王子(38)とメーガンさん(41)はアメリカへの帰国に際して、バイデン大統領に大統領専用機エアフォース・ワンに乗せてくれるように依頼した。即座に断られたが、驚きが広がった。英王室を離脱したいわば一般人が、国家機密が満載の「空飛ぶホワイトハウス」に同乗を求めた“わきまえのなさ”にあきれる声だった。
ただ、政治の世界への接近は今に始まったことではない。メーガンさんはバラク・オバマ元大統領夫妻を手本として後を追ってきた。2018年、ミシェル夫人が回顧録『マイ・ストーリー』の出版ツアーでロンドンに来たときは妃殿下として面会、女性教育などについて話した。その後メーガンさんは夫人を「友人」と呼んでいる。王室離脱後ネットフリックスとスポティファイと契約したが、これもオバマ夫妻をまねてのこと。夫妻はネットフリックスの1作目「アメリカン・ファクトリー」でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞している。また夫妻が回顧録を出版したペンギンランダムハウスと自分たちも契約、ヘンリー王子は今年『スペア』を出したが、夫妻の著書の高評価には歯が立たなかった。メーガンさんは、2021年、オバマ元大統領の60歳の誕生日パーティーへの招待状が届かなかったことにショックを受けたといわれる。それはオプラ・ウィンフリー氏とのインタビューで王室から人種差別を受けたとの発言をしたためだ。エリザベス女王を敬愛するオバマ夫妻が嫌悪感を持ったからといわれている。
オバマ夫妻に距離を取られても政界への執着は強いままだ。2021年、アメリカで有給の出産育児休暇制度導入の機運が高まった。メーガンさんは自分の2人の子どもの出産育児の経験をもとに、法整備を求めて立ち上がる。女性の上院議員(共和党)にロビー活動を開始。議員は車を運転中にプライベート専用電話に電話がかかってきたと打ち明ける。「私はサセックス公爵夫人です、と切り出したのには驚いた」と話す。「こちらの都合を尋ねることもなく、一方的にまくしたてました」。メーガンさんは「王室メンバーの内政干渉」と批判されると、「育児休暇は人道上の問題。政治ではありません」と反論した。自分が小学生の時にテレビで流れた洗剤のコマーシャルが、台所仕事は女性の役割と決めつけるとして、大手洗剤会社や当時のファーストレディー、ヒラリー・クリントン夫人などに手紙を送ったことを持ち出した。「私はいつも正しいことのために立ち上がってきました」と胸をはる。また、有給育児休暇制度の導入を目指して活動する団体には、サポートのしるしとしてスターバックスのカード25ドル(当時約2800円)分をプレゼントしたりした。