明らかな原因がある多汗症は「続発性多汗症」と呼ばれ、原因には薬剤性、循環器疾患、がん、感染症、内分泌・代謝疾患、末梢神経障害などがあります。

「当院を受診した40代の患者さんで、急に左側のわきの下から大量の汗が出るようになったという方がいて、CT検査をしたところ、肺がんが見つかりました。左右どちらかだけに症状が出ている場合は、病気が潜んでいる可能性があります」(大嶋医師)

乳幼児期から思春期に発症しやすい

 多汗症の基準として「発症が25歳以下」とあるように、多汗症は、大人になってからではなく、乳幼児期から思春期までには症状を自覚するケースが多いのが特徴です。

「手足の多汗症(掌蹠多汗症・しょうせきたかんしょう)は、生まれつきのもので遺伝が関連する場合もあります。これまで診た患者さんで一番低年齢だったのは生後6カ月の赤ちゃんです。一般的には幼稚園や小学校など集団生活を送るなかで、本人が気にし始めることが多いようです」(藤本医師)

 わきの下の場合は、思春期に発症する傾向があり、早くて小学校高学年、あるいは中学生、高校生になって悩まされます。

 多汗症は、放置しても健康上影響はなく、本人が困っていなければ、問題はありません。しかし、多汗症によって日常生活や職業が制限されることもあります。多汗症は現在、健康保険が適用されている薬もあり、治療の選択肢が広がっています。多汗症の基準に当てはまる場合は、皮膚科を受診することをおすすめします。

(文/中寺暁子)

愛知医科大学病院 皮膚科教授(特任) 大嶋雄一郎医師
1999年、愛知医科大学医学部医学科卒。刈谷総合病院、トヨタ記念病院などを経て、現職。専門は発汗異常症。日本皮膚科学会認定専門医・指導医、日本発汗学会理事、日本ボツリヌス治療学会代議員。

愛知医科大学病院 皮膚科教授(特任) 大嶋雄一郎医師

愛知医科大学病院 愛知県長久手市岩作雁又1-1

池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長 藤本智子医師
2001年、浜松医科大学医学部医学科卒。同年、東京医科歯科大学皮膚科入局。同大皮膚科助教、多摩南部地域病院皮膚科医長、都立大塚病院皮膚科医長などを経て17年から現職。東京医科歯科大学病院皮膚科の発汗異常外来を05年から担当。日本皮膚科学会認定専門医・指導医、日本発汗学会理事、日本臨床皮膚科医会常任理事。

池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 院長 藤本智子医師


池袋西口ふくろう皮膚科クリニック 東京都豊島区西池袋1-39-4第一大谷ビル3階

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