2017年から4年連続日本一と常勝軍団を築いたソフトバンクだったが、21年は4位と8年ぶりのBクラスに沈み工藤公康前監督が退任。藤本博史監督が就任1年目の昨年はリーグ優勝を目前にしながら、ペナントレース最終戦でオリックスに逆転優勝を許した。昨オフは近藤健介、嶺井、有原航平、ロベルト・オスナ、ジョー・ガンケルら他球団の主力選手を獲得する大型補強に成功。7月上旬まで首位争いを演じていたが、54年ぶりの12連敗とまさかの大失速を喫した。原因の一つが近藤、柳田悠岐の後を打つポイントゲッターの不在だ。メジャー通算109本塁打を放ったフレディ・ガルビスは19試合出場で打率.152、0本塁打。新外国人のウイリアンス・アストゥディーヨも15試合出場で打率.135、1本塁打と機能していない。シーズン途中、アルフレド・デスパイネが6月に再入団したが、全盛期より力が落ちていることは否めない。10試合出場で打率.115、0本塁打とカンフル剤になれず、発熱のため「特例2023」の対象で今月21日に出場選手登録から外れた。

 今年も3年連続V逸となり、山川がFA権を行使できる展開だったら獲得に動く道筋は考えられたが、今回の事件でFAどころか野球人生の危機を迎える事態に。

 他球団の編成担当は、山川獲得に消極的な姿勢を示す。

 「起訴、不起訴で西武の判断が変わってきますし見通しは分かりませんが、山川が復帰して来季以降にFA権を行使してもウチは獲りにいかないですね。選手としての実力は申し分ないですが、今回の一件でイメージが……。コンプライアンスが厳しくなっていますし、球団上層部やファンの理解が得られない」

 山川を欠いた西武は現在5位に低迷。かつては秋山翔吾(現広島)、浅村栄斗(現楽天)、森友哉(現オリックス)、山川と、強打者が並ぶ「山賊打線」で相手バッテリーを震わせていたが、主力選手がFA移籍で次々と抜け、強打者の育成にも時間がかかることから得点力不足に直面している。松井監督が就任した今季は山川が想定外の事態で離脱したことにより、打線の迫力不足が否めない。和製大砲として期待された渡部健人も左足を痛めて7月上旬に登録を抹消。山川は戦力面で代えが利かない存在だったという現実を、西武は突きつけられている。

 西武のユニホームで、スポットライトを浴びる1軍の舞台に復帰できるか。東京地検の判断とともに、球団がどのような対応を取るか注目される。(成績は7月25日時点)

(今川秀悟)