そして、地元の大阪府など地元自治体が出展する「大阪ヘルスケアパビリオン」は、建設費の当初の想定額は74億円だったが、その後、契約金額は99億円となり、府議会で増額分の補正予算が組まれた。

 予定価格内で応札されなかったり、不調に終わったりするのはなぜなのか。

 ある大手ゼネコンの役員がこう話す。

「万博の工事を取ってももうからないということ。ビルやマンションの建設なら、既製品を組み合わせることでなんとかなります。しかし、独創性やデザイン性に重きが置かれるパビリオンは、すべてオリジナルなものが求められます。当然、建設コストが跳ね上がる。一方で、ウクライナ情勢などで資材が高騰し、コロナ禍の影響で人手も不足。それで間に合うように仕上げないといけません。商売的には他の工事をやったほうがいいんです」

 大阪ヘルスケアパビリオンについては、この役員の会社も検討していたというが、

「詳細を検討しましたが、200億円を超えそうな内容でした。他のゼネコンも同じような目算だったと聞いています。それが最初は74億円の予定だったのですから」

 と話した。

■海外のパビリオンは建築申請0件

 そして、もう一つ注目を集めている海外の各国・地域のパビリオン。

 独自でパビリオンを建設するタイプAは50カ国程度の予定だが、大阪市に建築申請が出されたのは7月直前でも0件。

 そこで協会は、参加国に「建設代行」を提案するという。開幕に間に合うように協会が参加国に代わってパビリオンを建設し、代金は後で請求するというものだ。

「海外のパビリオンは、それぞれの国の独自のデザインや仕様などが魅力です。万博協会が既製品で箱ものを建てて、参加国に受け入れられるのでしょうか。ドバイ万博でもアメリカや中国などの大国は競うようにパビリオンに力を入れていました。建築中でも設計変更するほどだそうです。今のままでは開幕に間に合わないとはいえ、本来の魅力が失われないか心配です」

 と大阪市の幹部は本音を漏らす。

万博の工事用車両
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