最優秀選手賞と敢闘賞を受賞した(左から)オリックスの山下舜平太、日本ハムのアリエル・マルティネス、万波中正、巨人の岡本和真
最優秀選手賞と敢闘賞を受賞した(左から)オリックスの山下舜平太、日本ハムのアリエル・マルティネス、万波中正、巨人の岡本和真
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  今年の球宴はパ・リーグがセ・リーグに2連勝を飾った。3年越しで5連勝と「強いパリーグ」を証明する形となり、2試合連続アーチを放った若手成長株・万波中正(日本ハム)が最優秀選手(MVP)に輝いた。

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  ペナントレースと違った雰囲気のお祭り舞台を盛り上げようと、選手たちも普段とは違うパフォーマンスで盛り上げた。「プラスワン投票」で初出場したトレバー・バウアー(DeNA)は2戦目の4回に救援で登板。打者に球種を事前に伝えるジェスチャーを見せた。万波に1発を浴びるなど1回3安打2失点。狙っていた三振は奪えなかったが、予告投球は球宴の名場面に数えられるだろう。

 また、2戦目のプレイボール直後には「乱闘未遂」が。セリーグ先発の九里亜蓮(広島)が投じた1球目は、セーフティーバントの構えを見せた全パの1番・杉本裕太郎(オリックス)の背後を通過。杉本はヘルメットを脱いでマウンドに詰め寄ると、九里はグラブを外して応戦。実は事前に両選手が打ち合わせたドッキリだった。両者は険しい表情からから一転して笑顔で抱き合い、スタンドから笑いと拍手が起こった。

 ただ、見過ごしてはいけない問題点も浮き彫りになった。今年はセリーグ首位の阪神から12球団最多の11人が選出された。故障で出場辞退した近本光司、湯浅京己を含む10選手がファン投票で選ばれたが、球宴出場にふさわしい成績だったのか疑問が残る。佐藤輝明は打率.214、10本塁打、シェルドン・ノイジーは打率.238、5本塁打、梅野隆太郎は打率.182、1本塁打と前半戦は満足のいく成績を残していない。第1戦は野手全員がスタメン出場したが、パリーグの陣容に比べて迫力不足は否めなかった。選ばれた選手たちに非はない。佐藤は1戦目に山本由伸から左中間フェンス直撃の二塁打を放つなど2打数2安打と活躍した。

 9選手が出場した阪神に対し、1ゲーム差で追いかける広島から選出されたのは九里、秋山翔吾、ニック・ターリーの3選手のみ。「人数格差」を指摘する声があるが、ファン投票で阪神が球宴ジャックしたため、現行のシステムでは致し方ない部分もあるだろう。

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選手に負荷がかかる日程の問題