本塁打を放つ万波中正
本塁打を放つ万波中正

 スポーツ紙記者は、「阪神が絶好調の5月に下旬にファン投票の実施がスタートしたので、選ばれた選手たちが批判されることに同情する部分はありますが、ある程度の成績が伴っていないと説得力がないのも事実です。ひいき球団の選手を球宴で見たいファンの気持ちはわかりますが、特定の球団に偏りやすい投票システムを見直す必要がある。例えば、打者は出場試合数、打率が一定の基準に満たなければ、投票数が2位の選手が選ばれるという形でもいい」と指摘する。

 最も大きな懸案事項は、選手に負荷がかかる日程の問題だ。パリーグの指揮を執る中嶋聡監督(オリックス)は他球団の監督にも相談してWBC出場組を監督選抜で選出せず、4日間で2試合というタイトなスケジュールにも疑問を投げかけた。今年は19、20日に開催されたが、雨天中止の場合は21日が予備日だった。ペナントレースの後半戦が再開されるのは22日。21日に2戦目が開催された場合は、選手たちはマツダスタジアムから移動ゲームで後半戦初戦に臨むという強行日程だった。 

 セリーグ球団の首脳陣は、「今回のように雨天順延にならなかった場合も、球宴に出場した選手たちは後半戦に向けて1日しか休みがない。球宴を1試合にするとか、オールスターの期間は1週間ぐらい休みにして日程に余裕を持たせた方がいい。中嶋監督の提言は現場の総意ですよ。勇気を出して発信してくれたことに感謝しています。選手が犠牲になっている現行のシステムは変更すべきです」と語気を強める。

 球宴の存在意義も問われている。かつてセ・リーグとパ・リーグは日本シリーズ以外に対戦する機会がなかったが、05年からセ・パ交流戦がスタートしたことで真剣勝負が実現。セ・パの一流選手たちが対決する球宴の新鮮味が年々失われ、名勝負も生まれにくくなっている。ただ、野球ファンの関心が薄れているかといったらそうではない。今年は19日にバンテリンドームで開催された第1戦の観客数が35437人。翌20日の第2戦もマツダスタジアムで30925人の観客が集まった。

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米国メジャーリーグのオールスターは年に1試合