背景には、退職慰労金の決め方が外部からは分かりにくいこともあって機関投資家などの批判が強くなってきたこともある。そこで企業の側も、退職慰労金をやめて、そのぶんを基本報酬に上乗せしたり、ストックオプションなどほかの報酬に代えたりする動きが強くなっている。

 7月18日配信の記事で紹介した直近の23年3月期のランキング1位、Zホールディングスの慎ジュンホ代表は報酬総額48億6700万円のうち9割超をストックオプションが占めた。

 坂田課長は言う。

「いずれにしても、開示制度によって同業のライバルや他業種の企業と比べられるようになりました。その結果、あの会社のあれくらいの業績で役員報酬がこの程度なら、うちはこれくらいにしようかといった具合に、一定の目安ができた。その意味でも制度の意義は大きいと思います」

 社員や株主の側も納得できる水準かを確認するよう心がけよう。

(AERA.dot 編集部・池田正史)

著者プロフィールを見る
池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

池田正史の記事一覧はこちら