冷静に課題を分解していけば、自ずと答えは見えてくるはずです。
課題の発見に「思い込み」は禁物
人は現状維持の方がラクですし、安心感を覚えます。
カメラ会社の例でも、会社に残り続けた人は「現状維持はリスクが少ない」と判断したのかもしれません。
しかしそれはただの「心理的なバイアス(偏り)」です。ここに気をつけなくてはいけません。
たとえば、キャリアを考えるとき、多くの人は「転職よりも昇進の方が現実的だ」と思いがちです。でもこれも、立派な心理的なバイアスです。
そう思ってしまうのは「同じ会社に長くいると信用があるよ」とか「3年間は働かないとダメだよね」などと思い込まされてきたからです。
そんなバイアスに騙されてはいけません。
仮に製造業からIT業界のような人材の流動性が高い業界に移ったとしても「この人は3年経たずに辞めているから信用できない」などと思う人の割合は、IT業界では相対的に低いでしょう。
実際には制約ではないことを、制約だと思い込んでいることはよくあります。
そこをできるだけフラットに見ること。そのためにも、まずは課題を分解して、本当にやるべきことをあぶり出すべきなのです。
課題を分解していくことが、戦略を立てるときの基本です。
「お金がない」「英会話ができない」などの課題があるなら、それをどんどん掘り下げていって、本当の問題点を見つけ出す。
たとえば、英会話では、ネイティブスピーカーとの会話経験が重視されがちです。
ある程度の単語の知識がなければ、会話も成り立ちません。日本語で会話がかみ合わないときも、そのような場合が多いですよね。
確かに、ネイティブの方との会話経験は大切ですが、それよりも優先すべきは、自身の課題を発見することです。
後は、その課題をつぶすソリューションを実行するだけで、万事解決するはずです。
●岡 健作(おか・けんさく)
スタディーハッカー 代表取締役社長
1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。著書に『TOEIC(R)テスト科学的攻略法』(秀和システム)『逆転合格を実現する 医学部受験×パーソナルトレーナ』(幻冬舎新書)などがある。