先ほどの例でも挙げましたが、まさにキャリアに関してもそうです。

 よく「会社にしがみついていればなんとかなる」と思っている人がいます。「やりたくない仕事だけど、がんばっていればいつかは報われる」と思っている人もいます。

 そういうこともあるかもしれませんが、もっと具体的にロジカルに戦略を考えることです。

 戦略がなければ「報われない努力」で終わる危険を察知できません。

 少しだけ私の話をします。

 私は大学卒業後、老舗のカメラ会社に就職しました。配属されたのは、体育会系ゴリゴリの営業部。

 入社したのは2000年でした。ちょうどカメラがフィルムからデジタルにシフトしているときです。ただ会社からは「デジカメを売ると利幅がすごく減るから、フィルムカメラを売ってくれ」と言われていました。

 しかし、その努力もむなしく売上はどんどん落ちていき、営業所の人数も減らされていきました。一人あたりの担当エリアはどんどん広くなっていき、挙句の果てに他の会社に買収される話まで出てきました。

 当時はまだ入社二年目。世間的には「三年は耐える」ことがよく言われます。周りの人にもそう助言されました。「がんばっていたらいいことがあるはずだ」と。

 ……でも、それはちょっと考えにくいと思っていました。

 もちろんすでに50、60代で、このまま大きい会社に買収されて、退職金も満額もらえるというのであれば「いいこと」なのかもしれません。

 しかし入社2、3年目の人で、そのままがんばって得することなんてかなり可能性は低い。そこに賭けるのはリスクだと思いました。

 私は早々に転職を決断しました。

 その後、塾の経営に乗り出し、今ではおかげ様でうまくいっています。

 もしあのまま「がんばればなんとかなる」と会社に残り続けていたら、今の自分はなかったでしょう。

 大切なのは、根性論で乗り切ろうとしないことです。

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課題の分解が戦略設計の基本