![2023年6月から再発されるURCレコード名盤復刻シリーズ。遠藤賢司「niyago」。エンケンこと遠藤賢司のデビューアルバム](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/c/7/840mw/img_c7c5306d2de32dd3eff4bc0cf9c748a7112858.jpg)
1960年代後半に生まれたプロテスト・フォークレーベル「URCレコード」の名盤が再発された。かつての若者たちの歌は、今の時代にどう響くのか。AERA 2023年7月17日号の記事を紹介する。
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コロナ禍で多くの人が自宅待機を余儀なくされた2020年4月。俳優の杏さんが動画サイトにアップしたある曲の弾き語り映像が大きな話題を呼んだ。
その歌は加川良の「教訓I」。ベトナム戦争に対する反戦運動が世界的に高まっていたころ、日本で生まれたプロテストソングのひとつだ。「御国」のために死んで神様と呼ばれるよりも生きてバカだといわれましょうと歌うこの曲は、他にもさまざまなミュージシャンにカバーされ、当時を知らない若い世代にも広がっている。
■解放と自由を感じた
タイトルとは裏腹のアイロニーに満ちた「自衛隊に入ろう」(高田渡)や、滑稽なまでに理不尽な軍隊の様相を歌った「腰まで泥まみれ」(中川五郎/原曲はピート・シーガー)など、1960年代後半から70年代にかけて生まれた様々なフォークソングたち。それを世に送り出したのが69年設立の日本初のインディペンデントレーベルといわれるURCレコードだ。この6月から往年の名盤シリーズが再発され、それにあわせてリリースされたコンピレーション第1弾の選曲・監修をジャーナリストの金平茂紀さんが担当した。テーマは「戦争と平和」だ。
「ベトナム戦争が泥沼化し若者たちを中心に反戦の声が世界中に広がっていた時代でした。当時僕は北海道の田舎で暮らす中学生だったけど、こんな歌、歌ってもいいのか!と衝撃を受けましたね。URC(アンダーグラウンド・レコード・クラブ)の名の通り既成の、建前の音楽とは違う、地下から解放されて湧き上がる本音の音楽。従来音楽の在り方をガラッと変えてしまうようなエネルギーを感じた。音楽って、こんなに自由なものなんだ! そう思えたんです」
テレビでは聞けない生身の、本音の歌たち。第1弾シングルは大手レーベルで発売中止となった「イムジン河」だった。「帰って来たヨッパライ」で一世を風靡したザ・フォーク・クルセダーズの次のシングルとして予定されていたが中止となり、別名義でURCから発売されたのだ。