病床稼働率も上げた。同院は許可病床が307床だが、「緊急を断らないためにベッドは空けておく、稼働ベッドは少なくしていることで医療安全が保てる」という固定した意識が強かったため、空床が多かった。そこで経営改革のために稼働病床数を増やすことが必要であるという意識を徹底するため、「ベッドコントロール会議」という入退院予定数、救急病床の確認、空床の把握などを情報共有する会議を毎朝おこない、目標稼働病床数を設定し、救急患者を断らずに受け入れることと稼働病床の増加の両立を目指した。

 看護師の離職率が高かったことも診療効率の阻害要因であったため、看護師の定着を目的として処遇の改善、資格認定の導入、タスクシフト、紙伝票の廃止などの職場の改善に努めた。その結果30%もあった離職率が17%程度に改善し、入職希望者も増加した。

「当院は循環器に特化した専門病院なので、医師も看護師も循環器を勉強したいという理由で来ますが、若い看護師たちには別のジャンルも勉強したい人もいるわけで、特に看護師は3~5年で辞めていく傾向でした。それで新卒だけでなくジェネラルに勉強した後に循環器に特化して働きたい希望をもつ中堅の看護師も採用することで、看護の質を向上させると同時に離職率が低減するのを目指しました。看護師の増員も収益の伸びに貢献しています」

■「入退院支援センター」で患者が安心して入退院できるように

 2020年には「入退院支援センター」を作った。術前の薬のコントロール、歯科受診、検査不足などのチェック漏れを防ぎ、看護師や麻酔科医とのコミュニケーションにより、患者の不安に応え、安心して入退院できるようにした。

「当院は平均在院日数が少ないので、土日で入院患者がガクンと減って月曜日に患者さんが殺到という状況でしたが、月曜日の午前中から治療をおこなえるよう、日曜の入院を増やして入院患者を平準化するなどの調整をセンターでおこないました。入院前にセンターで病歴など必要なことを全部カルテに記入することで、担当主治医や病棟看護師の業務が大きく軽減し、クリニカルパス通りに、より安全に手術ができるようになっています」

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患者の待ち時間が減り、不安も解消