
マネックスグループのCEO(最高経営責任者)に清明祐子さんが就任した。金融グループで初となる女性のトップに経営方針や抱負を聞いた。AERA 2023年7月17日号の記事を紹介する。
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メガバンクをはじめとする旧来型の大手と遜色のない存在感を発揮しているのがネット系の金融グループだ。マネックスグループはSBIグループや楽天グループとともに、新興勢大手の一角を担っている。同グループの中核であるマネックス証券は、米国金融大手のゴールドマン・サックス証券出身の松本大さんが1999年にソニーと共同で設立した。
■四半世紀ぶりの交代
以来、ほぼ四半世紀にわたって強いリーダーシップを発揮し、マネックスグループのCEO(最高経営責任者)として、国内証券業以外にも幅広くサービスを拡充。だが、今年6月の株主総会でまさかのトップ交代が現実となった。松本さんに代わって、Co−CEO(共同CEO)の清明祐子さん(45)がグループのリーダーに就任したのだ。
今年3月、野村ホールディングス傘下の野村證券でも女性副社長の登用が発表されたが、金融グループの頂点に立つという抜擢は清明さんが初だ。今後は清明さんがCEOとしてグループ全体の経営を執行し、松本さんは代表執行役会長兼取締役会議長の立場でグループ全体のガバナンス(組織の統治体制)をチェックするという。
今回の人事に先駆け、清明さんは2019年4月からマネックス証券の代表取締役社長に就任していた。
「3月中旬のある日突然、4月から社長をやってと松本に頼まれました。私は投資銀行部門の仕事に携わってきて、個人向けネット証券のことなんて詳しくは知りませんし、松本の後任なんてなおさら。無理ですと、その場では反射的に即答で断りました」
だが、その翌日には一転して快諾したという。戦略企画部門の役員として松本さんの傍らに寄り添い、コミュニケーションを密に交わしてきたことがその背景にある。暗号資産大手のコインチェックをM&A(企業買収)で傘下に収めた際にも、ほぼ松本さん、清明さんの二人三脚でプロジェクトを進めた。