山本シンヤ氏。日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める
山本シンヤ氏。日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員も務める
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 5月30日に創刊された隔週刊「トミカ 歴代名車COLLECTION」は、タカラトミーが厳選した歴代名車を、その詳細を解説したマガジンとともにお届けするシリーズ。スポーツカーからはたらく車まで、毎号付いてくるトミカはオリジナルデザインで、これを集めると、唯一無二のトミカ・コレクションが完成する。

【動画】4号に収録の「ダイハツ ミゼット」の動画はコチラ

 創刊を記念して、マガジン巻末に収録されるリレーコラム「My car, My mini car」をAERAdot.にも配信。「ダイハツ ミゼット」を取り上げた4号のコラムは、自動車研究家・山本シンヤ氏による「軽自動車は“ 時代を映す鏡”」だ。

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 日本の国土面積は約38万平方キロで、その中の人間が住める「可住地面積」は約3分の1。そこに約1億2500万人が生活している。昭和40年代以降のモータリゼーションの発達で自動車保有台数は増えてきたが、肝心な道路と駐車スペースはそれに対応しているかというと、どうだろうか?しかもその一方で、市場の傾向から、グローバル化、大型化が止まらない。

 そこで注目すべきは、日本独自の規格となる「軽自動車」である。これまで幾度かの規格改正が行なわれており、現在は全長3400ミリ以下、全幅1480ミリ以下、全高2000ミリ以下となっている。規格が生まれた当時と比べると拡大されているものの、今も日本の道路環境に適した扱いやすいボディサイズであることは間違いない。ちなみに、日本自動車工業会の豊田章男会長いわく、「軽自動車しか走れない道、軽自動車しか相互通行できない道が日本には85%ある」とのことである。

 性能や品質に関しても、以前は「安かろう悪かろう」だった部分も否めないが、現在は走りや快適性、充実した装備、そして安全性など、登録車(普通車)と変わらないポテンシャルを備えている。また、登録車と変わらない豊富なバリエーションを取り揃え、仮に日本に軽自動車しかなくなっても、何も困らないと思う。

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日本の高度成長期を支えたモデル