いよいよ夏本番。冷たいビールやアイスがおいしい時期ですが、「歯がしみるのがちょっと……」と悩んでいる人もいるかもしれません。むし歯がないのに冷たいものを食べると歯がしみる理由、しみてしまったときの対処法を歯周病専門医の若林健史歯科医師に聞いてみました。
【チェックリスト】歯周病セルフチェックはこちら 「歯を磨くと出血」はその1つ
* * *
冷たいものを食べた時、歯がしみる場合と、頭が痛くなる場合があります。同時に来る場合もあるので、どちらの痛みなのか、わからないことも多いと思いますが、実はそれぞれ原因が違います。
「頭が痛くなる」ほうは、上顎の硬口蓋(舌で触ると硬い部分)にある「神経の束」が刺激されることで起こるといわれています。この神経束は冷たいものに敏感で、例えば冷たいアイスを口に含んだ時に、その一部が神経束に触れると、情報が脳に伝わり、キーンとした頭痛となってあらわれます。「アイスクリーム頭痛」と呼ばれることもあるそうです。私も夏にゴルフ場のコースをまわるときは、よくかき氷を食べますが、毎度、この「頭キーン」に悩まされています。それでも、汗をかきながら食べるかき氷はおいしいのでやめられません。
「歯がしみる」ほうは、いくつかの理由がありますが、一つはむし歯や歯周病などによって歯のエナメル質がなくなっている場合です。エナメル質の奥にある黄色い象牙質には象牙細管という無数の細い管があり、そこから歯の神経である歯髄とつながっているので、象牙質に冷たいものが触れると、しみたり、痛みが起こったりするのです。
むし歯や歯周病などがないのにしみるのは、「知覚過敏」です。主に歯の根元の露出が原因です。歯の根元は歯の上部と違い、エナメル質ではなく、セメント質で覆われています。セメント質はとても薄く、エナメル質ほど硬くないので、加齢や歯周病の進行などで歯ぐきが下がり、歯の根元が出てくると象牙質への刺激で、しみやすくなるのです。
歯の根元が露出していないのに歯がしみる場合は、くいしばりや歯ぎしりが原因であることが多いです。リラックスしているときは上下の歯が接触していないのが普通ですが、くいしばりや歯ぎしりのために歯を接触している状態が続くと、歯ぐきの下を通っている神経が興奮し、これが脳に伝わってわずかな刺激でも、知覚過敏が起こるようになります。