■普通の幸せを感じてほしい
「ピリカ」は母猫「小町」が“馬小屋”で産んだ子猫で、発見された時にはすでに下半身不随だったそう。馬が蹴ってしまったかわかりませんが、何か事故があったのかもしれません。
兄妹や他の子猫の卒業がどんどん決まるなか、残ってしまった「ピリカ」を見て、私は「この子にも普通の家庭で幸せになってほしい」「うちに来たらいいなあ」と、思うようになりました。背中に大きなハートのある「ピリカ」のことが、会うたび好きになりました。
私には、もう一匹、気になる猫がいました。白黒のくっきりした顔で体に牛のような模様がある「つや姫」です。そもそも成猫はもらわれにくいのですが、スタッフは「強面のお顔だから決まらないのかも」と推測していました。でも「つや姫」はかっこいいのです。
毛色はモダンな着物柄のようで、性格は親分肌。子猫がご飯を食べ終わるまで待っているし、オス猫には強めの猫パンチを浴びせたり、シェルターにいる大型犬に立ち向かったりする。そんな「つや姫」は、「ピリカ」と「小町」親子と気が合うようでした。
11月末頃、「小町」を希望する家が見つかり、トライアルに出ることになりました。その間に私は「ピリカ」と「つや姫」を家で預かりたいと思い、団体の代表に話をしました。預かれば、新たな猫をシェルターにいれ、里親に出すチャンスも増えます。そうこうしているうちに、「小町」が「家に慣れない」という理由でトライアル先から戻ってきたので、合流して、結局3匹がイブに家にやってくることになったんです。
もし我が家に慣れたら、預かりでなくいずれうちの子にという思いがあり、団体の方々も背中を押してくれました。そうして今年2月、“正式”に3匹が我が家の猫になりました。
■楽しい毎日には朝晩の圧迫排尿も
2階の夫の部屋を猫部屋にして、階下の犬と生活を分け、ドアの前には脱走防止柵とビデオカメラ、キャットタワーも設置しました。
犬ほどべったり甘えてこないけれど、遠慮がちにすりすり体を付けて、喉を鳴らしてくれる。みんな遊び好きで、猫じゃらしを振ると、一人ずつ順番待ち。たまに我慢できずに割り込む子もいたりして(笑)、全力で遊ぶのが面白く可愛いと思いました。