他球団のスコアラーは「村上対策を徹底している」と明かす。
「ヤクルト打線の核は4番の村上です。気持ちよく打たせると、他の打者も乗って一気に大量得点を奪われる。他球団も当然対策を講じてきたと思いますが、今年はより一層村上を抑えることに神経を注いでいる。ポイントはいかに投手に内角を意識させるか。穴のない打者ですが、昨年の終盤から懐に直球を投げ切れば踏み込みが甘くなっている。もちろん甘いコースに投げたら打たれますが、他球団も内角に意識があるように感じる。1発を恐れずに懐を攻めれば、外角にバットが出なくなる。バッテリーミーティングで徹底しています」
村上はプロ入り後、順風満帆に階段を駆け上がっていった。1年目にプロ初打席初本塁打の鮮烈デビューを飾ると、2年目の19年は全143試合出場で36本塁打とブレーク。高卒2年目以内でシーズン最多記録の96打点を叩き出し、新人王に輝いた。4番に座った20年は打率.307、28本塁打と確実性が上がり、21年は39本塁打をマーク。巨人の岡本和真と分け合う形で、自身初の打撃タイトルを獲得した。昨年は球史に残る成績を刻み、新たに3年18億円の契約で合意。25年シーズン終了後にポスティングシステムを利用してMLB挑戦を認められたことが、各メディアで大々的に報じられた。
セ・リーグの5球団も意地がある。強打者には宿命の「内角攻め」で、村上といえども、安打や本塁打を量産することは容易ではない。だが、違った見方も。スポーツ紙デスクはこう分析する。
「昨季はペナントレース最終戦で56号本塁打を放ちましたが、9月は月間打率.207と明らかに打撃のメカニズムが狂っていた。現在も昨年の終盤の打撃不振を引きずっているように感じます。本来なら2月の春季キャンプで打ち込んで修正したいところだが、3月にWBCがあったために例年より早めに仕上げなければいけなかった。実際、WBCで準決勝、決勝で活躍しましたが1次ラウンドではなかなか調子が上がらず、村上本来の打撃を取り戻せたという確信はなかった。結果が出ていない力みもあるのでしょう。シーズンに入ると、ミスショットや空振りが目立ち、強引に引っ張ろうとして体の開きが早い。修正には時間がかかると思います」