ETFは運用状況も毎日開示され、販売会社を通さずに取引所で売買するので投資家が払うコスト(信託報酬)も割安だ。

 これまで主に投信が担ってきたアクティブ運用型がETFでも認められるようになり、こうしたメリットを生かした商品の開発が期待される。先行する海外には資産規模が1兆円を超えるような人気商品もあるとされる。

 ただし、ファイナンシャルプランナー(FP)でファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦さんは「日本で普及するかどうかのカギは、しっかりしたパフォーマンスを打ち出せるかに尽きる」と指摘する。

「アクティブ運用型の商品が市場価格で取引できるようになるメリットは確かにあります。しかし、既存の投信でもアクティブ型の多くは運用や販売に苦戦しています。既存の投信にあるようなテーマや切り口の商品を投入しても、投資家の人気を得るのはそう簡単ではないでしょう。例えば、かなりエッジの利いた商品設計が必要になるかもしれません」

 また、仮に新NISAの対象となるような商品が登場しても、それがETFの起爆剤となるかは微妙だという。深野さんは続ける。

「NISAの主眼として掲げられているのは『長期・積み立て・分散投資』です。ETFは運用によって得られた分配金を自動的に再投資する仕組みがありません。その意味で、長期の運用によって収益を膨らませる『複利効果』を発揮するうえで弱い。もちろん、自分自身で分配金を再投資すればよいのですが、手間はかかります」

 そして、こう続ける。

「実際に、金融庁によると現行のNISAを通じた資産購入額は株式と投信で全体の97%を占め、ETFは2.4%にとどまります(3月末時点)。アクティブETFの登場によって、その割合がどこまで増えるか不明です。購入するかどうかはしばらく様子を見てから決めても遅くはないのでは」

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存在感はなお大きいとは言えない