特定の指数に連動せずに、運用担当者が独自の切り口で銘柄を選ぶことなどができる「アクティブ運用型」の上場投資信託(ETF)が、早ければこの秋にも登場する。これまで株価指数など「パッシブ運用型」しか認められていなかったETFにとっては大きな転換点となる。2024年1月に始まる新しい少額投資非課税制度(NISA)の対象になる商品の登場も期待され、投資家にとって気になるところだ。
【表】「アクティブETF」の特徴と既存のETFや投信との違いはこちら
東京証券取引所が6月30日に関連のルールを改正し、国内市場にも上場できるようにした。これまで東京市場では、東証株価指数(TOPIX)や日経平均株価、原油や金価格といった国内外の資産の値動きを示す価格指標に連動した「パッシブ運用型」のETFしか上場が認められていなかった。これからはより柔軟な商品設計が可能になる。
東証は改正の理由として、多様化する投資テーマに応え、金融・資本市場の国際競争力を高めることなどを挙げる。「すでに複数の運用会社などから問い合わせが寄せられ、関心の高さを感じます」(広報担当者)。
運用会社の申請を受けて、東証の審査や承認の手続きに1~2カ月かかる。実際に商品が登場するのは秋頃になる見通しだ。「投資家のニーズに合致するような運用戦略を見極めながら、新たに投入するETFの選択肢の一つとして検討していきたい」(野村アセットマネジメント広報担当者)、「有望な商品群なので前向きに検討している」(三井住友DSアセットマネジメント広報担当者)など、主要な運用会社も参入を検討中だ。
ETFは「Excange Traded Funds」の略で、取引所で売買できる投資信託を指す。
東証の取引時間中なら、個別株式と同じように、市場価格に基づいて機動的な取引ができ、「指値注文」や「成り行き注文」「信用取引」といった注文方法も利用可能だ。通常の投資信託は1日に1回といった特定日の基準価格に基づいて売買され、指値注文や成り行き注文は利用できない。