天皇陛下が自ら英国留学中の体験をつづった著書『テムズとともに 英国の二年間』が、ご成婚30年目にあたる今年4月に再出版され、話題になった。母校である学習院創立150周年を記念して復刊された。初版が出版されたのは、皇后雅子さまとのご成婚を4カ月後に控えた1993年2月。青春時代を過ごした英国は、皇室、とりわけ天皇陛下にとって、特別な存在である。
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<あたりは泡だらけである。よく見ると泡は明らかに私が使用した洗濯機から流出している。そばにはあきれ顔の一人の学生がいた。「これは、君のか。泡があふれているよ」と彼は言った。洗濯物の詰め過ぎであった>(『テムズとともに』より)
陛下が「青春の記録である」とあとがきに記したこの著書には、浩宮時代の1983年から約2年間を過ごした英オックスフォード大学での寮生活やご学友との交流、登山やテニスなどのスポーツ、英国内外への旅などについてつづられている。
ベッド上の窓枠から入るすきま風の冷たさに困り果てて窓に目張りをしたこと、共用の洗濯機に洗剤と洗濯物を入れすぎて地下のランドリールームを泡だらけにしてしまった失敗談など、23歳の若々しい陛下の様子が描かれている。
そして2001年5月、当時皇太子だった陛下は、英国各地で日本文化を紹介する「Japan2001」のために訪英していた。陛下はチャールズ皇太子(当時)とともにこの行事の名誉総裁を務めており、故エリザベス女王と英国政府から招待されたのだった。
陛下は、エリザベス女王のウィンザー城に宿泊して、英王室との旧交を温めた。
ウィンザー城での昼食会では、陛下はエリザベス女王の右側に着席。こぢんまりとしたテーブルに、故フィリップ殿下やチャールズ皇太子も顔をそろえた。駐英大使として陛下を出迎え、この昼食会にも出席していた林貞行さんによると、昼食後にはエリザベス女王自らが城内を案内したという。
「それほど、女王は皇太子さまを気遣っていたのです」
と、林さんは言う。