
ただ、昨年の区長選では岸本氏が勝利したものの、議会では岸本氏に批判的な勢力が半数を占め、議会運営は苦しい場合もあった。
そこで岸本区長は、今年 4月の区議選でジェンダー平等や多様性の尊重、気候変動問題など自身の政策ビジョンに賛同する候補者と政策合意を結び、支援した。推薦した19人の候補者のうち、16人が当選し、自公の議席は大きく減少する結果となった。
議会の変化は起き始めている。5月19日にあった区議会の議長選挙では、最大会派の「自民党・無所属」が推した議員が1票差で負けた。立憲・共産などが投票したと見られる議員は、自民党所属(この後、離脱)で、自民党会派の議員が「事情がつかめない」と漏らすほど波乱の結果だった。
岸本区長はこう語る。
「区長に当選した当初は、議会でも “針のむしろ”という雰囲気を感じました。今回の区議選では女性議員も増え、議会の光景は大きく変わった。政治家は政策を議論し、課題を前に進めていくことが求められている。今後、区長としての実績がより一層問われてきます」
杉並で起きた「静かな革命」は、今後どのような展開につながるのか。注目が集まっている。
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

