学び直しの場をどこに求めるかは、目的やレベルによって選ぶことになる。大学の学部卒業者向けにリカレント教育の門戸を開いている大学院は少なくない。社会人の場合は、主に修士の学位を取得することが目的になる。
もともと大学には充実した教育コンテンツがあり、学びの環境や設備も整っている。時間も費用もかけて専門的で高度な知識を体系的に学ぶことができる。研究論文をまとめる過程で、何をするにも必要となる高度な思考力や分析力も身につく。
学位が得られる正規課程のほかに、非正規課程のリカレント教育も各種あり、それぞれにメリットがある。
特定分野の知識や考え方を学んだり、資格取得に必要な単位を得るためなら、「科目等履修生制度」を利用する方法がある。大学や大学院に正規で入学しなくても授業に出て学ぶことができ、その科目の単位修得が認められる。1科目から受講でき、科目数もしくは単位数ごとに授業料を支払うため、費用は比較的安く、受講のハードルも高くない。
それよりもある程度まとまった内容を学ぶのが、学校教育法が改正され2007年に創設された「履修証明プログラム」だ。総時間数が60時間以上とされ、修了者に交付される履修証明書はジョブ・カード制度の「職業能力証明書(ジョブ・カード・コア)」として通用する。
また正規課程と履修証明プログラムを対象とした「職業実践力育成プログラム(BP)」などがあり、働きながらでも受講しやすく、実務家による授業や受講生同士でのディスカッション、体験活動などを重視したプログラムとなっている。2023年3月時点で394課程を文科省が認定している。
このほかに大学が設置する公開講座、民間の資格講座、ネットによる通信講座などもある。
短期間の講座から始めて、より高度な学びにつなぐのもいい。たとえば科目等履修生をリカレント教育の入り口にして、正規課程へとレベルアップすることができる。